2026年10月9日 / 執筆・編集:USUI
「何をつくるか」より「何を変えたいか」
アプリの相談で、ログイン、通知、ランキング、決済と機能を並べても、それが必要か判断する材料はまだ足りません。使う人が何に困り、どんな行動をできるようにしたいかを先に書きます。
たとえば「日々の変化を写真で残したいが、写真フォルダでは振り返りにくい」という課題なら、撮る・蓄積する・振り返る、の流れが見えます。そこから、最初に必要な画面を考えられます。
jidoriの公開機能を、利用場面で読む
USUI LABで紹介しているjidoriは、毎日1枚、自分の顔を記録するiPhoneアプリです。App Storeの公開説明では、撮影、写真の振り返り、タイムラプス、コメント・タグ、通知などを案内しています。以下はその公開機能をもとにした、依頼の準備としての整理例です。開発当時の議事録や実際の工数を再現したものではありません。
| 利用する場面 | 必要になる体験 | 最初に聞きたいこと |
|---|---|---|
| 今日の写真を撮る | 撮影と保存 | 撮り直しはできるか、1日の区切りはいつか |
| 過去の写真を探す | 日付やタグで振り返る | 一覧と1枚表示のどちらが使いやすいか |
| 変化を見る | 写真を連続で再生する | 動画を書き出すか、アプリ内で見るか |
| 撮り忘れを減らす | 通知する | 通知の時刻を自分で決められるか |
最初に決める機能、後から考える機能
新しいアイデアを試すなら、「撮る→保存する→振り返る」が成立するかを先に確認する方法があります。通知、共有、細かなタグ、課金などは、目的や公開条件に応じて優先順位を決めます。すべて後回しにできるという意味ではなく、最初の公開に必要な条件を分けるためです。
特にアカウント、複数端末の同期、写真やデータの保存場所は、画面の数だけでは判断できません。端末内に保存するのか、サーバーに送るのかで構成と運用が変わるため、早い段階で確認します。
相談メモは、この6項目から
1. 使う人:誰のためのものか
2.
困っていること:今のやり方のどこが不便か
3.
使う場面:いつ、どこで使うか
4.
最初の体験:最初にできるようにしたいこと
5.
参考サービス:近いものと、違いを出したい点
6.
条件:希望時期・予算・利用端末(未定でも可)
この6項目があれば、相談から画面・機能・優先順位の整理へ進めます。わからない部分は「未定」と書いて構いません。
架空の相談例
使う人:自宅で植物を育てる人
困りごと:写真が散らばり、成長を比較しにくい
使う場面:朝の水やり時に撮り、週末に見返す
最初の体験:植物を選ぶ、写真を撮る、過去と並べる
参考:写真日記アプリ。SNSへの公開は必要ない
条件:まずは自分のiPhoneで試したい。予算と時期は相談したい
ここから「植物を何種類登録するか」「写真をどこへ保存するか」「機種変更時の扱い」「比較画面の操作」を確認できます。詳細な仕様は、こうした会話を通して決めていきます。
見積もりを比べるときは、範囲を揃える
価格だけを見ると、画面設計や公開作業、修正の回数、更新対応が含まれるかを見落としやすくなります。何が成果物に含まれるか、どこまで動作確認するか、公開後に誰が更新するかを揃えて比較してください。
USUI LABでも、相談内容を伺い、対応できる範囲と進め方を確認します。料金や完成までの日数を一律に示すより、最初に何を確かめるかを共有します。